外国人が日本で活動するための在留資格は現在約30種類あります。
「特定技能」と「技能実習」は、どちらも技能という語句が入っていますが、それぞれ異なる目的や要件、内容を持っています。
本記事では、「特定技能」と「技能実習」の違いについて易しく解説します
こんにちは、どら太郎です!!
今日は、特定技能と技能実習の違いについて、一緒に学んでみよう!
1.特定技能について
特定技能の概要
「特定技能」は、日本で特定の産業分野で働くために必要な在留資格です。
この制度は、2019年に新設され、人材確保が困難な産業分野で一定の技能をもつ働き手の確保を目的としています。特に介護や建設、農業、製造業など、人手不足が深刻な業界での労働力確保が期待されています。
取得要件
特定技能の取得には、以下の要件を満たす必要があります
- 日本語能力: 日本語能力試験(JLPT)N4レベル以上に合格すること。
- 技能試験: 各分野ごとに定められた技能試験に合格すること。例えば、介護分野では介護日本語評価試験と介護技能評価試験の両方に合格する必要があります。
在留期間と更新
特定技能1号の在留期間は、トータル最長5年間です。
1回の許可での在留期間は1年、6ヶ月、または4ヶ月であり、更新が可能です。1号よりも熟練した技能である特定技能2号はになると留期間の制限がなく、条件を満たせば長期にわたって日本で働くことができます。
特定技能2号は、条件はあるものの家族帯同が可能な在留資格です。自国にいる配偶者や子供を呼び寄せることができるようになります。
2.技能実習とは?
技能実習の概要
「技能実習」という言葉を知っている方は多いと思いますが、どんなイメージがあるでしょうか?
技能実習制度は1993年に創設されました。目的は、開発途上国の人材が日本で技能や技術、知識を学び、それを母国に持ち帰り経済発展に寄与するという「国際貢献」を主な目的としています。
人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)の移転による国際協力を推進することを目的とする。
技能実習法第1条より抜粋
しかしこの技能実習制度の在り方については、様々な問題が顕在していることは皆さんもご存じかと思います。
国際貢献的な目的が、実態としては、働き手不足のなか安価な労働力として働くことになり、労働環境が過酷な場合であっても転籍は(別の会社で働くこと)ができないものとなっていました。その他にも悪質ブローカーの介入など様々な問題が起きることとなりました。
特定技能1号への移行も認められてはいるのですが、法の趣旨が自国に技術を持ち帰ってもらうという国際貢献であり、帰国が制度上の原則であることから、技能実習期間を終えた外国人の方たちは大半が帰国をされ、せっかく育成した人たちが国内から離れていくという状況となっています。
問題点を克服し、「育成就労」へ(2027年頃~)
上記に記載したように技能実習制度には問題がありました。
日本として国際的な働き手確保の必要に迫られていることから、浮き彫りになった問題を対処をおこない、日本で長く働いてもらうことができるよう、技能実習に代わる新制度として「育成就労」制度が創設され、2027年頃までに開始されることが決定しました。
新制度では、3年間で特定技能1号水準の人材育成を目的とし、外国人の方が自身のキャリアパスを描けるような内容に変更されます。受け入れる企業も、自社で長く働いてくれる期待ができ、日本人の社員と同様に従業員を育成就労をするというメリットがあります。
課題もあると思いますが、日本は柔軟な国ですから、まじめに働いてくれる日本が好きな人に、どんどん来ていただきたいな、と私も思います。
2.特定技能と技能実習のちがい
特徴 | 特定技能 | 技能実習 |
---|---|---|
目的 | 人材確保が困難な産業分野で 一定の技能をもつ働き手確保 | 学んだ技術を自国に持ち帰ってもらう 国際貢献 |
対象者 | 一定の技能と日本語能力を持つ外国人 | 開発途上国の労働者 |
在留期間 | 特定技能1号: 最長5年 特定技能2号: 制限なし ★技術を積むことでキャリアアップ 長く働いてもらうことが可能 | 最長5年(技能実習1号: 1年 技能実習2号: 2年 技能実習3号: 2年) ★その後大半は帰国 |
まとめ
特定技能と技能実習は、それぞれ異なる目的と要件を持つ在留資格です。特定技能は日本の労働力不足を補うことを目的とし、即戦力としての雇用が期待されます。一方、技能実習は国際貢献を目的とし、開発途上国の人材が日本で技能を学び、それを母国で活かすことが期待されます。どちらの制度も、日本で働く外国人にとって重要な選択肢となりますが、個々の目標や状況に応じて適切な制度を選ぶことが大切です。
- 特定技能は、日本の労働力不足を補うための在留資格。
- 技能実習は、日本で技能を学び、母国に持ち帰ることを目的とする制度
- 特定技能は一定の技能と日本語能力が必要で、最長5年間の在留が可能
- 技能実習は最長5年間(1号: 1年、2号: 2年、3号: 2年)で、実習生としての研修が主。
- 特定技能は即戦力としての雇用、技能実習は国際貢献と技能移転が主な目的。
- 特定技能の期間に各分野の技術試験に合格することにより、特定技能2号への移行申請が可能。